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菓子職人(第8話)社内ブレン
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菓子職人(第8話)社内ブレン

初就職から、3年が経過して四か所目の職場でやっとペストリー(製菓)に配属できたのが四年目でした。

人の名前、宴会場の名前、ホテル内のフロアーマップ、会社から寮がある駅までの京浜急行の駅の名前や景色と駅の名前が一致しはじめ、当時のJR蒲田と京急蒲田の間が休日の憩いの場でした(この当時原宿の竹下通りでは竹の子族がいたようないなかったような)。

社内移動があるたびに、少しづつメンタル面でタフになったような気がします。

他の同期生より、いろんな部署で知り合いがいるんだぞみたな。

以前ご指導いただいた諸先輩方に会うと、気恥ずかしいけれど、温かいお声を頂いたり、実務には直接役に立たないけれど、その職場その職場のやり方なんかも、思い出しながら。

社内にブレンがいると、会社の中でトランスファー(モノの移動貸し借り)も少し融通してくれたりもします。

例えばマドレーヌの仕込みで、レモンが2個足りなかったりすると、レストランから借りたりして、トランスファー伝票なるものを書いて、棚卸の整合性を合わせます。こんな時に、お昼が取れないでお腹がすいてるときに、レモンと一緒にパンにポテトサラダを挟んで持たしてもらったことも思い出します。

些細なことですが、職場が変わるたびに相変わらずの間の悪さを生まれ持っている私は、違った失敗を繰り返したように思い出します。こんな時に、先の先輩や、お世話になった同量のこんな気遣いのおかげでもう一回やってみるかって、一人で自問自答していました。

ペストリーに配属されても、その職場の兄弟弟子の中で一番できの悪い私が、人並みになるためにどれくらい無駄なことをしてきたんだろう、どれくらい、人の役に立ってきたんだろう?

ややもすると、自己卑下や自己嫌悪に陥りやすいときに、ありがたい先輩の一言。

どんな時でも「自分を愛しなさい!」と。

そうすることで、他人もあなたを好きになってくれるし、協力もしてくれる。

自分を嫌いになることは、同時に相手も嫌いになることだと気づかせてくれました。

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